宮沢賢治を創る人びと[改題増訂版]
定価:本体3,000円+税
無名の「地方詩人」は、どのようにして国民的作家となったのか?
賢治の神話化の過程を丹念に追い、「デクノボー」イメージの下に隠された、教育への風刺、戦争の影、ケアの思想に迫る。
『宮沢賢治を創った男たち』(日本児童文学学会奨励賞)に、新章やコラムを追加、全体にわたる大幅な加筆と改稿をほどこし、2倍近い分量となった増訂版。
目次
はじめに
第一章 盛岡発・偉人のプロデュース──宮沢賢治を創る人びと
第二章 宮沢賢治の会とその活動
コラム① 高畑勲と宮崎駿のアニメーション映画──賢治童話の映像的誘惑
第三章 宮沢賢治が創り上げられる──草野心平の貢献と移し替えられる「雨ニモマケズ」
第四章 『グスコーブドリの伝記』──講義録、夜学、そして方言撲滅運動
コラム② 読者にとっての『銀河鉄道の夜』とは──〈岩波文庫ヴァリアント〉は何を問うのか
第五章 『どんぐりと山猫』と大正期の教育──隠された“教育ドラマ”を開く
第六章 海を渡った『風の又三郎』──日活映画と文部省作サイレント版
コラム③ 総督府図書館(朝鮮・台湾)の賢治関連書/四川外国語学院(中国)と黄瀛
第七章 飛行と帝国主義──もう一つの又三郎
第八章 旅マタギと資本主義の論理──『なめとこ山の熊』における〈ケア〉の精神
巻末資料① 「聞き書き 私の歩いた道」(菊池暁輝)
巻末資料② 日活映画『風の又三郎』新聞広告
あとがき
掲載論文情報一覧
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著者
米村 みゆき(よねむら・みゆき)
名古屋市生まれ。専修大学文学部日本文学文化学科教授。博士(文学)。
専門領域は日本近現代文学、アニメーション文化論。主な研究対象は宮沢賢治、村上春樹、高畑勲、宮崎駿。
名古屋大学大学院博士課程、日本学術振興会特別研究員(PD)、甲南女子大学文学部専任講師を経て、2009年より専修大学文学部に在職。
著書『宮沢賢治を創った男たち』(青弓社、2003年)で第28回日本児童文学学会奨励賞受賞、『映像作家 宮崎駿──〈視覚的文学〉としてのアニメーション映画』(早稲田大学出版部、2023年)で第11回日本アニメーション学会賞受賞。