水を掬すれば月手に在り
鏡の中の葉嘉瑩
定価:本体3,200円+税
1924年、北京に生を享け、大学教員となり、40代なかばにして渡米、カナダで長く教鞭をとり中国詩詞の伝導に邁進したひとりの女性。
70年代後半から、カナダと中国を往復しながら古典文化のすばらしさを人びとに伝え、晩年にはついに帰国を果たす。
文学者・教育者として、また詩人として、中国詩詞を心の友に歩んだ葉嘉瑩の百年の生涯を、自身と知己が語り尽くす一冊。
中国で制作されたドキュメンタリー映画を書籍化。
目次
はじめに
一 植の本 蓬瀛より出でて
白先勇/中国古典詩詞の殿堂に導いてくださった方
瘂弦/スカートをいた士
陳小玲/葉先生は「生きる詩詞『辞書』」
柯慶明/彼女のことを理解するには、その詩詞を読もう
席慕容/詩の教えとは
二 逃禅して隠るを名と借りず
鄭培凱/中華文化の一筋の清流
張鳳/ハーバード大学で出会った葉教授
田暁菲/巨匠の風格を見せ、学者の範となる葉先生
鄺龑子/忘れ難き朝食の縁
方光珞/「道を伝え、業を授け、惑いを解く」ことを真に成し遂げた方
劉元珠・林楷/美しいものを信じる葉先生
三 海を畑に変え宿願を休む
劉秉松/詩詞で生命の苦痛を溶かす葉嘉瑩
施淑/鏡に映す影を味わう
施吉瑞(Jerry Dean Schmidt)/古典中国の代表者
陳山木/魏晋風骨は彼女の風骨
梁麗芳/不確かなことは決して口にしない
王健(Jan Walls)・李盈/ロマンチック精神に富む自律者
王芳/先生と弟子の縁は肉親を超える
施淑儀/変わることなき美しいものへの追求心
謝琰/天意に従ってこそ美しい
卓同年/葉先生は精微な生命体
陶永強・梁珮/彼女の詩を訳す悦び
何方/葉先生は宝庫である
四 天孫は錦を織り成すを要め見る
陳洪/清々しい一筋の風
徐暁莉/「詩は以て興すべく」──詩詞の生命は永遠に変わらず
沈秉和/心字炉香を燃やし焦痕を説く
石陽/詩歌と音楽は生命の内なるリズムと通じ合う
張元/詩の学びは人間としての在り方を学ぶこと
張静/好く一点の紅炉の雪を将りて 散じて人間の照夜灯と作さん
呉浩/明月は積雪を照らし、夜深けて千帳の灯あり──葉嘉瑩の「弱徳の美」を論じる
編著者
行人文化(こうじんぶんか)
台湾に拠点を置く出版社。映像を媒体として人文・文化・芸術など多様な分野に取り組み、社会に独自の映像美学と価値観をもたらすとともに、中華圏の貴重な文化遺産を保存することを使命としている。
活字文化(かつじぶんか)
2014年創業の北京の出版社。良質な書籍を中核とし、マルチメディア形式を活用する文化クリエイティブ機関。書籍や新たなメディア製品は人文社会科学や教養教育の分野をカバーしており、伝統的な出版の古典的意義を継承するだけでなく、文字に新たな命を吹き込む文化的意義の開拓にも力を入れている。