久高島祭祀論
定価:本体5,600円+税
琉球祭祀の「古層」
沖縄島南部、その東方洋上に浮かぶ「神の島」は、冬至の朝、「てだが穴」(太陽の穴)に姿を変え、そこから再生した太陽が昇るという。その島で、かつて琉球国王「てだこ」(太陽王)の復活儀礼が行われていたのではないか? 久高島の地方祭祀から、失われた国家祭祀を復元する手がかりを探る。
目次
序
一 本書の目的
二 議論の歴史的舞台
Ⅰ 久高島祭祀の概略
一 久高島の祭祀組織
二 ノロとソールイの関係
三 神の憑依の象徴──ハブイとシルサージ
四 オナリ神信仰をめぐる問題
Ⅱ 久高島と地方祭祀 八月行事を考える
一 ソールイマッカネーとマッティ
二 ヨーカビーとテーラーガミ
Ⅲ 久高島と国家祭祀 国王の行幸をめぐる問題
一 国王の久高島行幸
二 久高島と国王の復活儀礼
三 聞得大君の御新下りと久高島
Ⅳ ニライと「てだが穴」 地方祭祀と国家祭祀
一 ニライカナイと東方聖地観
二 ニライのふたつの系譜と祭祀
結びにかえて
一 オナリ神信仰と宗教政策
二 久高島行幸をめぐる問題
注
引用・参考文献
あとがき
索引→公開中
著者
吉成 直樹(よしなり・なおき)
1955年生まれ。秋田市出身。
元法政大学教授。理学博士(東京大学)。地理学、民俗学。
主要著書
『琉球建国史の謎を追って──交易社会と倭寇』(七月社、2022年)、『琉球王国は誰がつくったのか──倭寇と交易の時代』(七月社、2020年)、『琉球王権と太陽の王』(七月社、2018年)、『琉球民俗の底流──古歌謡は何を語るか』(古今書院、2003年)、『マレビトの文化史──琉球列島文化多元構成論』(第一書房、1995年)など。