木地屋幻想──紀伊の森の漂泊民

木地屋幻想 紀伊の森の漂泊民

桐村英一郎 著

定価:本体2,000円+税

2020年6月2日刊
四六判上製 / 168頁
ISBN:978-4-909544-08-7


山中に消えた漂泊民
ロクロを発明したとされる惟喬親王を祖とし、天皇の綸旨(命令書)を携え、いにしえより山中を漂泊しながら椀や盆を作った木地屋たち。
トチ、ケヤキ、ミズメ、ブナなどの良木を求め、山々を渡り歩くその姿は、近代の訪れとともに消えてしまった。
木の国・熊野の深い森にかすかに残された足跡、言い伝えをたどり、数少ない資料をたぐり、木地屋の幻影を追う。


目次
まえがき→公開中(第一話も含まれています)

第一話 小椋谷再訪──木地屋の心のふるさと
第二話 大皇神社──小倉姓で固める
第三話 ハナシの話──山を降り川辺に住む
第四話 移動の痕跡──近隣に同じ名を追う
第五話 先祖への想い──一族の墓を集めて祀る
第六話 十津川の「政所」──小辺路が通る山里で
第七話 俗説の真偽──山への視線
第八話 菊の紋章──決めつけは危ない
第九話 「善吉サイ」の墓──古座の奥山に生きた一族
第十話 『紀伊続風土記』は語る──旧牟婁郡の伝承
第十一話 各地の足跡──立派な位牌残し消える
第十二話 宇江氏インタビュー──失われたものへの哀惜
第十三話 黒江は今──「木地屋」があった

あとがき


著者
桐村英一郎(きりむら・えいいちろう)

1944年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。朝日新聞社入社後、ロンドン駐在、大阪本社、東京本社経済部長、論説副主幹などを務めた。2004年11月末の定年後、奈良県明日香村に移り住み、神戸大学客員教授として国際情勢、時事英語などを教える傍ら古代史を探究。2010年10月から三重県熊野市波田須町に住んでいる。三重県立熊野古道センター理事。
著書は『もうひとつの明日香』『大和の鎮魂歌』『ヤマト王権幻視行』『熊野鬼伝説』『イザナミの王国 熊野』『古代の禁じられた恋』『熊野からケルトの島へ──アイルランド・スコットランド』『祈りの原風景──熊野の無社殿神社と自然信仰』『熊野から海神の宮へ』『一遍上人と熊野本宮』。共著に『昭和経済六〇年』がある。

書評・紹介

  • 2020-05-31「吉野熊野新聞」
  • 2020-06-03「熊野新聞」

ほんのうらがわ(編者による刊行エッセイ)