ケアを描く──育児と介護の現代小説

ケアを描く 育児と介護の現代小説新刊

佐々木亜紀子・光石亜由美・米村みゆき 著

定価:本体2,000円+税

2019年3月31日刊
四六判上製 / 256頁
ISBN:978-4-909544-05-6


子ども・障がい者・高齢者、そしてすべての人々
長らく家庭というとじた領域で、主に女性によって担われてきた〈ケア〉労働。介護の外部化や男性の子育て参加など状況は大きく変わりつつあるものの、密室育児や介護施設での虐待など、依然として問題は山積している。そのような、揺れるケアの現場を、フィクションはどのように描いているのか。小川洋子・多和田葉子・角田光代・三浦しをん・辻村深月・桐野夏生・金原ひとみなどを中心に、〈ケア〉というキーワードから現代小説に新しい光をあてる一冊。


目次
はじめに──〈ケア小説〉から見えてくるもの/佐々木亜紀子・光石亜由美

Ⅰ 育児をめぐる〈ケア小説〉──〈母〉と〈父〉の多様性

第1章 〈母親になろう〉とする母子たちの物語──角田光代『八日目の蟬』/光石亜由美
コラム① ママ友たちのカースト──桐野夏生『ハピネス』『ロンリネス』/崔正美
コラム② 〈イクメン小説〉のなくなる日──川端裕人『ふにゅう』・堀江敏幸『なずな』/光石亜由美

第2章 ケア小説としての可能性──三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』/米村みゆき
コラム③ 定型化された「家族」のイメージを批評する──是枝裕和監督『万引き家族』など/米村みゆき
コラム④ 「夫婦を超え」ていくには──ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』/飯田祐子

第3章 弱さと幼さと未熟さと──辻村深月「君本家の誘拐」『冷たい校舎の時は止まる』/古川裕佳
コラム⑤ 「毒親」の呪縛と「毒親」離れ──姫野カオルコ『謎の毒親──相談小説』/光石亜由美

第4章 家政婦が語るシングルマザー物語──小川洋子『博士の愛した数式』/佐々木亜紀子
コラム⑥ 出会いを生きる子ども──小川洋子『ミーナの行進』など/佐々木亜紀子
コラム⑦ アウトサイダー・アートをめぐる小説──村上春樹『1Q84』・小川洋子『ことり』/佐々木亜紀子

Ⅱ 介護をめぐる〈ケア小説〉──高齢者・障がい者・外国人

第5章 ケアと結婚と国際見合い──楊逸「ワンちゃん」『金魚生活』/尹芷汐
コラム⑧ 外国語を話す家族たち──温又柔「好去好来歌」/尹芷汐

第6章 ディストピアの暗闇を照らす子ども──多和田葉子「献灯使」/磯村美保子
コラム⑨ ワンオペ育児者は逃げられない──金原ひとみ『持たざる者』/磯村美保子
コラム⑩ 家族介護をどう描くか──水村美苗『母の遺産──新聞小説』/山口比砂

第7章 新しい幸福を発見する──鹿島田真希『冥土めぐり』/飯田祐子
コラム⑪ 障がい者の恋愛と性と「完全無欠な幸福」──田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」/飯田祐子
コラム⑫ 心の中はいかに表象されるのか──東田直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由』/米村みゆき

あとがき/米村みゆき
作品名索引→公開中


編者
佐々木亜紀子(ささき・あきこ)

愛知淑徳大学・愛知学院大学ほか。日本近現代文学、国語科教育。
『〈介護小説〉の風景──高齢社会と文学[増補版]』(共編著、森話社、2015年)、『〈変態〉二十面相──もうひとつの近代日本精神史』(共著、立花出版、2016年)

光石亜由美(みついし・あゆみ)
奈良大学。日本近代文学(自然主義文学、セクシュアリティ研究)。
『自然主義文学とセクシュアリティ──田山花袋と〈性欲〉に感傷する時代』(世織書房、2017年)、「愛は国境を越えるか?──辻仁成・孔枝泳『愛のあとにくるもの』における日韓合同小説の試み」(『奈良大学紀要』第45号、2018年3月)

米村みゆき(よねむら・みゆき)
専修大学。日本近現代文学(宮沢賢治、村上春樹)、アニメーション文化論(宮崎駿、高畑勲)。
『アニメーション文化──55のキーワード』(共編著、ミネルヴァ書房、2019年)、「「動物アニメ」の想像力──高畑勲のアニメーション映画と宮沢賢治」(『文藝別冊 高畑勲』河出書房新社、2018年8月)

書評・紹介

ほんのうらがわ(編者による刊行エッセイ)