素朴に考えよう/中村三春

素朴に考えよう 中村三春(『物語主義』著者)  本書『物語主義 太宰治・森敦・村上春樹』の巻末に、筆者の主要著作年譜を付してある。その中に、『物語の論理学 近代文芸論集』(2014年2月、翰林書房)のタイトルが見える。同...

ブラントンの灯台を巡る旅/稲生淳

ブラントンの灯台を巡る旅 稲生淳(『明治の海を照らす』著者)  私が生まれ育った串本町には樫野埼灯台と潮岬灯台があるが、これらの灯台は地元の人間にとっては遠足の定番コースといった存在で、特別な感情を抱いたことはなかった。...

詩と音楽と現代芸術と/中村三春

詩と音楽と現代芸術と 中村三春(『ひらがなの天使』著者)  1975年10月、高校生の私は所属していた吹奏楽部の遠征で、盛岡から山形に来ていた。私は中学から大学の教養部の頃までコルネットを吹き、その後はやめてしまったが、...

琉球建国史をめぐる最大の「謎」/吉成直樹

琉球建国史をめぐる最大の「謎」 吉成直樹(『琉球建国史の謎を追って』著者)  一般に広く知られている琉球国(統一王朝)が沖縄島に形成される過程は次のようなものであろう。  14世紀後半の沖縄島には、明に朝貢する山北、中山...

民俗学のまなざしと麦の座標/野本寛一

民俗学のまなざしと麦の座標 野本寛一(『麦の記憶』著者) ビール麦や、健康食品・地域興こしの素材とされるモチ麦、農協がかかわる一部の小麦栽培などを除いて、この国の風景の中から主食としての麦栽培にかかわる種々の営みや耕地に...

〈接続する文芸学〉のこと/中村三春

〈接続する文芸学〉のこと 中村三春(『接続する文芸学』著者)  この本で主に取り上げた3人の作家の作品との出会いは、それぞれ出会いのタイプが異なっている。村上春樹は、初期作品からずっと発表されるたびに読んでいた。最初は、...